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自分の呼吸法を見直す
鼻息が臭うとすれば、多くの場合は、呼吸法が正しくないことに加えて、本人の緊張という問題があります。自臭症の人の持っている最大の誤解は、口をつむっていると、口臭は出ないだろうということです。これは、実は逆なんです。口をつむる事で、自臭から発展して、さらに、他覚的臭気を出すようなものです。しかし、その多くは、呼吸法と、自律的唾液分泌訓練で改善します。
病的な場合は、漢方的処方で改善します。自臭症の方の行動パターンを分析してみましょう。まず、自臭症の人は、人ごみの中で必要以上に口をつむります。そして、この行為自体が緊張によるものであることを理解していません。(もっとも、口臭に悩む人がそのような心理になるのは、やむをえない気もしますが。)とにかく、緊張すればするほど、口はつむります。この行為を分析してみましょう。最初のリラックス状態から、まず、重力にさからって下顎を持ち上げ、唇をきりっと引き締める為に、周辺の神経を緊張させます。そうすると、舌は口腔内で微動だに出来なくなります。これと同時に、口腔衛生を支配する働きを持つ自律神経も緊張し、唾液分泌は抑制されるので、口の中は粘っこくなり、その一方で、舌の付け根付近に多数散在するリンパ組織からは、粘液が分泌されるため、喉の奥は余計にねばねばと不快になっていきます。
もしも、口が少し開いた安静位(顎がリラックスした状態)であれば、唾液が活発に分泌されるので、時々それが反射的に飲みこまれたりする時、喉にたまった粘液は適度に胃に流れていくのですが、口をつむった緊張状態では、唾液分泌が止まっているので、喉の粘液は、そこにたまった状態が続きます。そうすると、さらに粘張性が高くなり、まとわりつきます。ここで、もし鼻の調子が悪かったりすると、最悪な状態になります。鼻腔からも鼻汁が流れてきて、喉で合流しますから。口をつむっていて、唾液不足の状態の中で、その炎症性粘液の集合体は、ちょうど鼻と肺を往復する空気の通り道にあるため、呼吸のたびに悪臭を放つ結果になります。その部分に炎症があるときには、抗生剤を投与すると、一時的に舌の付け根や、喉頭、咽頭のリンパ組織の炎症反応が穏やかになり、そのような炎症性産物がたまりにくくなるため、鼻臭(口臭)が改善する、ということになります。
唾液分泌がない状態では、口腔内は極端な酸素不足になると推測します。新鮮な唾液に含まれる、溶存酸素が必要です。しかもその溶存酸素は、好気性微生物によりすぐに消費される為に、供給が止まると、間もなく嫌気性微生物(この活動が、口臭を発生させる)が活発になります。したがって、口腔衛生を良い状態に保つ為には常に新鮮な唾液が必要なんです。口をつむり、鼻で呼吸することが、私の提唱する鼻呼吸では決してありません。口は、むしろ少し開き気味が良いのです。(緊張のないポカーンとしている状態です)この時空気が入ったとしても、決して口呼吸していません。ここで、私の提唱する自律的唾液分泌訓練が、大きな意義を持ちます。口を安静に保ちつつ、新鮮唾液を出しつづけ、かつ、口呼吸が出来ないということです。
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