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鼻臭 情報交換掲示板
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スペシャル
- 16/12/17(土) 19:52 -
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第V章 総括考案
上述の実験を通覧するにAに於いて即ち第1例より第15例の痩削性鼻炎並びに臭鼻症に於いて或いは片側或いは両側に紫外線を照射するに、それ何れも局所の発赤腫脹は顕著にして早きは3日遅くとも10日にして治癒傾向をとること事実である。然して局所に「トリパフラビン」を塗布して感受性増強法を施し、然る後、照射すれば一層奏効顕著なることを目撃した。この増強法は注射その他の方法と異なりその操作極めて簡単なるを以って吾人臨床上に推奨するに足りる方法であると信ずる。然して私の実験する所に依ればその鼻腔内計測数に於いて少なくとも0.1cmより、著明なるものは0.4cmの局所の腫脹を証明した、尚増強法を施した側と他側単純照射側との差に於いても約0.1前後の差あるを認めた。然して単純性痩削性鼻炎に於いては殆んど総てに(100%に)奏効するを認めたるも、これに反し所謂臭鼻症に於いては照射のみでは更に増強法を用いるも一向に治癒傾向をとらざる例を目撃した。例えば第10例の如きは照射30回を重ねるも軽快せず40回に及びて辛うじて総治癒状態を呈する有様であった。然るにB第15例より30例までに於いては頑固なる臭鼻症にはP.Ca.以外に「ヴガントール」「ラジヲストール」等の「ビタミン」D製剤を内服させて同時に照射するに単に照射のみ行うものと「ビタミン」投与を併用するものとの比はグラフで見ても異ならず、すなわちまず痂疲は3〜5日より軟化融解し、その為に一時分泌物過剰と成るも5〜8日よりは分泌物減少し10日後にはかなり重症なる例においても痂疲の消褪、局所粘膜の発赤腫脹著明となりその大部分は全治することを認めた。然して全治後一週間或いは一ヶ月後に於いて観察するもその大多数は再発するものは無かった。然るにこの「ビタミン」D並びに紫外線照射を併用するにもかかわらず尚痂疲形成頑固にして如何にしても消褪治癒せざる数例あるを認めた。この所に於いては私はその去就に迷い「ビタミン」並びに照射併用の傍ら更に患者の自家「ワクチン」を制作して患者に注射するに注射一週間にして痂疲は漸次軟化稀薄となり二週間すれば全く全治したのを認めた。(第31例〜第35例)然るにこの三者併用の中にも第35例のみは一時全治の状態と成りしも治療後四週間にして再検するに不幸にも再び若干の痂疲形成を認めた。かかる例は更に何物かの付帯して起きるものにして臭鼻症の益々複雑不可解なるものなるを物語れると言うごとし。要するに私の実験例に於いては単純なる痩削性鼻炎は殆んど全部が紫外線のみにて全治し(主に感受性増強法を応用して)更に臭鼻症に於いて紫外線のみにて全治しないものも「ビタミン」Dの併用によりて殆んど全治する結果を得られた。然るに尚極めて重篤なる少数例にありては紫外線「ビタミン」に加えて更に患者の自家「ワクチン」の注射により始めて満足なる結果を得たのである。私は上述の実験例よりして直に不可解極まりない臭鼻症の本體を云々するにはあらざるも前述の事実は明らかに単純な成因により醸するものにあらずして少なくとも数多くの要約の合併して来るものなることは想像するに餘りあり。然して私の実験例に於いては何れも血液のワッセルマン氏反応は陰性にして副鼻腔もまた異常なきを確かめて置けた。(蓄膿症あるものは手術して後照射する)然して35例中男12、女23にして女子は3分の2を占め、職業に於いても給仕、女工等の大部分なること先人の言う所に一致し、比較的下層社会の思春期の婦人に多きを示せるのである。次に私はこれら患者の食事の好き嫌いの統計を取りたるに大部分は魚肉、海藻類を嫌い果物野菜などを好む。また婦人の月経初潮とその状態を調査するに何れも初潮期遅く且つ量少なくまた不順の者多くあり。(この臭鼻症患者の食養問題並びに月経に関する問題は極めて興味ある所にして著者は後日稿を改めて執筆すると欲するゆえ本篇にはその詳細を略することとする)。さて紫外線照射が何故にその病の局所粘膜に奏効するのかを考えることは紫外線の生物学的作用を考究すれば容易に首肯し得るべき問題である。日光は植物に附し其の葉緑素形成に缺くべからざる如く人類に於いてもまた日光の極めて大切なることは周知の事実である。然して日光の重要なる所要はその内に含まれる紫外線の作用に帰せられる。紫外線は生物の生活機能に附して興奮性作用を有し、照射後血行旺盛となり細胞分裂が行われる事実である。レヴィーハ「マウス」に短時間の照射を行えば白血球、血色素の増加は無論、肝脾肺にも多少の充血を起こすとさえ言える。新陳代謝に及ぼす作用は最も重要にして酸化作用還元作用共に旺盛となり脂肪蛋白質等の代謝機能も認められる状態である。果たして然らば粘膜に於ける照射は如何にと、私は私の実験に於いて上述の如く家兎鼻粘膜に一度紫外線が照射されると局所の血行旺盛となり上皮細胞の分裂の為に上皮層は高く周園に向かっても膨脹し粘膜下組織もまた増殖肥厚するを目撃した、所謂 人の臭鼻症の鼻粘膜は全般に萎縮状態となれるものなれば之に紫外線の作用せんか、臨床上の局所の発赤腫脹は組織学的にまた各組織の充血肥厚細胞分裂を証明して余りあり。これ単純性痩削性鼻炎が100%に治癒する所以である。されど紫外線は尚局所のみならず全身的に新陳代謝その他にも影響を及ぼすものなる故他方全身的関係も考慮しなければならない。飜って今日臨床上に於いて単純性痩削性鼻炎なるものと所謂臭鼻症との間に果たして確然たる境界を定め得べきや否や。また私は実験例に於いて単に紫外線のみにて治療できるものとできないものとがあり。これ誠に注目すべき問題であるとされる。即ち吾人が肉眼にて視診した所見のみにて直に以て局所粘膜の状態を診定し或いは全身的新陳代謝の情勢を付度するは無謀極まるものにしてかかることなしに日常吾人は軽率にも痩削性鼻炎と稱し臭鼻症と唱えたるに過ぎざるがごとし。臭鼻症問題が解決の域に達するのは正に本問題にして臨床上痩削性鼻炎と臭鼻症との間に確然たる境界を定められないのもまた故無き為に違い無いのである。私は本実験に於いて臭鼻症患者に紫外線の奏効する者と否と有りし事実に鑑み、これは正に局所粘膜の感受性如何が主なる原因では無いかと思惟する。即ち紫外線は或る種體質の組織には鋭敏にして或る種耐體質のものには鈍なるは己に証明せられたるところである。即ち「ビタミン」D欠乏による拘僂病に紫外線の奏効するは今日明らかに実証せられし所にしてかかる体質のものにその欠乏する要素を與へ然して更に照射を試みるは当然の理である。吾が臭鼻症が「ビタミン」D欠乏なるか否かを断定する前に私の実験例を詳さに検索すればまた容易に次の事実を考察するを得べし。即ち臭鼻症が単に新陳代謝異常のみならず或る特種の病原によりて釀されるは己にLow-enherg.ロー-エンハーグ Abel.アベル Perez.ペレツ 等の証明する所にして又もし本症が此れ等の「Ozena coccobacillusオゼナ コクコバチルス」に非ずとするも之れに似て否なる同属異種の細菌の附随するは何人も異論なせぬべし。私は私の実験に於いて紫外線並びに「ビタミン」D併用にして尚全治せざる極めて頑固なる症例に臨み患者の自家「ワクチン」を使用して全治せしは前述の如し。さればその奏効の悉くを一二歸せんとするのは暴なるも少なくとも自家「ワクチン」の作用が幾分の役割を占めて居ることは否むべからざるのである。私は本研究に於いて臭鼻症の原因が何物なるかを断言せんとするものには非ざるも数多の実験例に於いて少なくとも紫外線「ビタミン」D並びに自家「ワクチン」の奏効し然もこれ等の作用に依らざるべからざる事は注目に値すべし、即ち臭鼻症なるものは決して単一の原因に依りて惹起せられるものにはあらずして数種の要約の合成して始めて成立するものでは無いだろうか、然して新陳代謝異常「ビタミン」D欠乏、及び特種細菌はその大部分の要約と見越して過ちは無いのであると信ずるものである。然して単純性痩削性鼻炎の行きつく所と言う臭鼻症域はその他類似のものもこれら要約の付随する如何によりて臨床上に於いても各種各様の症状を呈するものなるべきは想像するに餘りあり。要はその発来する症状と要約との因果関係が治療を左右しそしてその本体を迷蒙にならせる基となるを信じて疑はないのである。私は浅薄なる小実験例により古来よりの謎を解くのが出来ないと知ると雖も前述の事実は正に本問題解決に極めて妥当なる一見解と成ると信ずるものである。
第VI章 結論
私は35例の臨床例によって単純性痩削性炎並びに所謂臭鼻症が紫外線「ビタミン」D及び自家「ワクチン」を以て完全に治療されることを実証し、尚家兎に於ける紫外線照射の組織学的研索とにより次の如き結論に到達するを得た。
(1) 単純性痩削性鼻炎の局所粘膜に紫外線を照射すれば局所の発赤腫脹肥厚を来たし分泌物減少して治癒機転に赴くべし。しかして「トリパフラビン」塗布による感受性増強法を行えば一層顕著なるべし。
(2) 真性臭鼻症に於いては其の程度により紫外線のみにて治癒するものも多々あれど尚「ビタミン」Dの投与併用にて治癒するものも多し。即ち「ビタミン」D欠乏は臭鼻症の重大なる一要約に違いないのではないか?
(3) 悪臭ある高度の臭鼻症に於いては紫外線、「ビタミン」Dに加えて自家「ワクチン」の注射により完全に治癒させることができた。
(4) 臨床上に於ける痩削性鼻炎と臭鼻症との境界は極めて難しい、それは本症が単一なる原因に依らずして数個の要約の合成に基ずく因果にして少なくとも現今に於いては「ビタミン」欠乏+特種細菌+Xと想像し得ないか。
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