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「国立国会図書館デジタルコレクション」に有る論文です。 スペシャル 16/12/17(土) 19:47
Re:「国立国会図書館デジタルコレクション」に有る論... スペシャル 16/12/17(土) 19:51
Re:「国立国会図書館デジタルコレクション」に有る論... スペシャル 16/12/17(土) 19:52
Re:「国立国会図書館デジタルコレクション」に有る論... スペシャル 16/12/21(水) 19:00

「国立国会図書館デジタルコレクション」に有る論...
 スペシャル  - 16/12/17(土) 19:47 -

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   痩削性鼻炎並びに真性臭鼻症と紫外線「ビタミン」Dとの関係に就いて
(倉敷中央病院耳鼻咽喉科)
村上 正徳(医師)

第1章 緒言並びに文献
およそ疾病を治するにはその原因的療法に俟つべきは論外の事にして、これに向かって先ずその原因を確定するは贅言の要は無いのである。されど或る疾病に依りてはその成因は個々たらず時には幾何かの要約合成に依りて始めて成立するもの有るは正に甚大の注意を拂うべき物であるとする。吾が領域に於ける臭鼻症の如きもまた古来より一つの謎と稱せられる。医会の進歩は急である、然してまた医学の疑問は多事である。輓近擡頭する内分泌説、自律神経、放射線然して「ビタミン」問題等正に百花爛漫の状態にしてこれ等諸問題が幾多難解の諸症の解決に與って力あるは周知の事実である。折々臭鼻症の成因は吾が領域に於ける多年の懸案にしてその業績報告もまた無数である。しかも今日尚不可解なる謎として残され従ってこれが会心の療法に接っしないのもまたしかたが無いことである。これその成因を一二結果を一二歸せんとして単一なる療法のみに信頼して総合的総攻撃法に留意しないのでは無いか?今文献を案ずるに本症が家庭的遺伝的に現れるは吾人の日常しばしば目撃する所にして、また他方的、人種的にその発生頻度を異にし且つ社会的、職業的に少ない多いがあるを認め、女性に多く思春期に頻発するは己に周知の事実である。尚先人の記する所は身體の局所解剖的に因子あるを力説し或いは副鼻腔疾患の二次的過程なりとも唱えられ、将又梅毒、結核に合併してこれが連鎖あるを唱える人も有り。然るに輓近の自律神経系統の開拓は本症は交感神経疾患にして楔状口蓋神経節に関係あるを主唱される。更にまた内分泌物方面の研究として脾臓、甲状腺、卵巣などがその発生因子に重大なる関係あるを唱えるなど実に應接に煌なき状態なりとする。これより先Lowenberg,ローウェンバーグ、Abelアベル perezペレツ等は本症に特意とするCoccobacillusコッコバシルースを発見して本症唯一の病原なりとしこれに対する「ワクチン」療法も試みられてここに斯界の一大革命を惹起した。然る所その後臨床上並びに細菌学的方面の検索によりては本症は強まるのを該菌のみに依るべからざるを実証し細菌説は一過性の彗星の如く消滅せんとし本症の治療は依然混沌に帰りたる有様である。今日医学の進歩は周期的に交代せんとする傾向ありて多くの疑問に対する見解もまた循環せんとしつつあり。温故知新このところに於いて近来更に体質論の擡頭せるもまた宜なりと言うべし。現時臨床上意義ある疾病に於いてはその先天性の病的体質が後天的病変を醸すに至るは広く認められる所にしてその局所的病変を全身的体質より分離せんとするは正に大なる誤診なりと唱えられる。臭鼻症が肉体的薄弱なる者に多く変性体質の若人に頻発し、或いは淋巴体質、慘出性体質又は迷走神経緊張性の者がその思春期に至り何等かの誘因によりて本症を惹起した時必ずや体質の成因的意義によりいることは想像に余りあり。されど吾人は尚本症に於いてあまりに体質のみに拘泥して真の要約的主素を忘却せんとすればまた再び五里霧中に彷徨すべきを必する。このところにおいて近時新陳代謝の方面開明となり殊に化学的血液変化は興味ある事実を提供する。即ち本症患者における血中「コレスチン」の減少「カリウム」「カルシウム」の平衝、「イオン」の均整障害転位等を証明し此の所に食事栄養問題勃興して新生面を拓きたり。己に古くフオイトの栄養学説が出て以来ヒンドヘーテ、フレツチヤ等の所説医会を風靡して今や新陳代謝研究と相俟って食物栄養の新紀元を構成せんとし、最近更に「ビタミン」の出現により一新方面の見解築かれんとしつつあり。各種「ビタミン欠乏」が種々疾病の原因的要素をなせるは今日随時証明されつつある事実である。所謂臭鼻症も新陳代謝、栄養問題と共に「ビタミン」欠乏にその源を発するに有ると、將又これに加えるに体質内分泌、特種細菌などの要約が合体して惹起するものに有るかの疑義が実に私にしても本篇を創せんとする所為のものである。本問題は詳かに先人の業績を渉覧し日常遭遇する臨床例をつぶさに観察すれば何人と難きも一度は首背せんとする問題にして、私は平素診療にあたりて必ず該患者の食養その他に欠陥ないかを考慮し、輓近の「ビタミン」学説を連想し更に紫外線照射「ヴガントール」投与によりて奏効するを実証して以来益々此れの関係の深遠なるを信じ幸にその臨床的観察を総括し得たものを以てこれらにその一端を述べ、合わせて本症と紫外線並びに「ビタミン」Dとの関係を聊か論じ本症研究の一資料たらんと欲するものである。


第2章 輓近に於ける「ビタミン」Dと紫外線
近時「ビタミン」の研究は日に月に進み各方面に於いて新機軸を見い出せるが最も興味あり注目すべきは最近における「ビタミン」Dと紫外線の関係である。それに1913年Mocollumモコルーム、Devisデイビスが鱈肝油及び「バター」の中に所謂脂溶性「ビタミン」があることを発見し眼乾燥症及び成長に必要になることを唱えた。当時それにOsborneオズボーン、Mendelメンデルはその「ビタミン」が佝僂病に有効と成る物と附加した。次いで1918年Huldschinskyヒュルドスチンスキィーが佝僂病は紫外線照射により治癒可能と成ることを報告し更に1929年Hessヒース、Tic’Smisティック’スミス Slenborgスレンボーグ等は皮膚に照射すると有効成るも単に食物を照射しても尚目的を達すると唱えた。尚最近世人の注目を引くことはCa(カルシウム)新陳代謝とLipoidリポイドの消長である。又肝油中の有効成分はその中の沃度化合物にはあらず、またリン、タンパクにもあらずしてその中に含める僅かのLipoidリポイドなるSterinステリンなることを実証した。Sterinステリンは麥角中に含まれること多きを以って之これより採取してエルゴステリンErgosterin C27 H42 Oと称した。今これのエルゴステリンErgosterinの結晶に紫外線を照射しこれを1%の(100%の間違いか?)「オレーフ(オリーブ)」油に溶解したものを即ちVigantol(ヴガントール)であるとする。今自然界に於いて紫外線により「ビタミン」Dとなる母體は「エルゴステリン」のみであるか或いは他に類似の物があるかは不明なるも鷲見は日本椎茸より「エルゴステリン」と同様なる物質を純粋に分離した。動物に於いては単に皮膚中には十分なる母體の存在することを伺い知ることが出来ても、粘膜に於ける照射は果たして如何なることかはまだ誰もこれを唱える人が居ない。更に近時「ビタミン」Dは臨床的に骨形成と密接なる関係を有するを以ってこれを生化学的に動物の新陳代謝の上に大なる関係が有るとする。即ちシユルツエル(1927)は紫外光線を照射した時期に於いては佝僂病性食餌においても明らかにCa,Pの保存量が増加すると言った。また同じくKreitmairクリィートマイア、Mollモールは「ビタミン」DはCa新陳代謝を促進してもしこれの過剰なる時は組織中にCa(カルシウム)が沈殿されると唱えた。そうして「ビタミン」Dは佝僂病のみならず尚妊娠骨軟化症、骨折などにも有効であると唱えられるに至ったそして最近Bilkhorzビルクホルツ、Beselinべセリンが我が鼻科領域における「ビタミン」Dの第一矢を放つに至ったのである。そして吾が臭鼻症の現状を按ずるに細菌説もまた動きべからざる一成因と見なしても尚且つそのことごとくをこれに帰することも出来ない。局所解剖説、副鼻腔説、結核、梅毒説などまた確実なる立証をとげられていない。將又自立神経、内分泌物方面の研究も未だ全て明らかでない。然るに本症が思春期に多く女性に多く下層社会の日光に照射せられる機会に乏しき者に多きを見た、局所の乾燥萎縮の病理組織学上の所見は正に或る何物かを暗示するものになるはずである。かくて「ビタミン」Dの周到なる投与によって治癒に趣くことを実証せられるを合わせ考えれば私が今日本の問題を提唱するのに従事しないことは想像し得ない。然して今日私はただ臨床上の実際を調べて未だ逑蒙なる臭鼻症治療の一端を本問題に依りて解決の域に達する第一歩を進み得たと信ずるものである。

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 スペシャル  - 16/12/17(土) 19:51 -

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   第3章 研究方法
第1項 臨床的観察法
上述の如き最近の進歩を見て私はまず本症は数種の原因の合成により始めて成立することが出来るものと仮定し治療上において各種の方法を比較研究し並びに臨床上厳格なる原因的区別をなし得ない所謂の 痩削性鼻炎と臭鼻症の両者を交互に選び「ビタミン」D、紫外線、「ワクチン」療法等を或いは単一に或いは合併して毎日その局所の状態を観察した。患者は本院に毎日通院するものを選び来院の度毎に「ヴガントール」10滴から30滴までを与え局所の洗浄塗布などを行わず単に綿棒をもって清拭きしてあらかじめ私の考案する「鼻内腔測定器」を以って鼻腔入口より約2.5cmの部分に於いて(1)下甲介と鼻中隔との距離(第I計測)(2)下甲介と鼻底との距離(第II計測)(3)中甲介と鼻底との距離(第III計測)を計測して置き、加療後の計測数と比較した。
すなわち或る者は片側にのみ紫外線を照射し、或る者は両側にまた或る者は一方の鼻腔にのみ1%「トリパフラビン」溶液を塗布して感受性増強法を行い他方の側はそのままとして同時に照射を試みて比較観察した。尚前紀の「ヴガントール」及び紫外線にて奏功顕著ならざる者は更に前二者の併用に加えて患者の自家ワクチン療法を試みた。自家ワクチンは患者の鼻腔内の痂疲を採り純粋培養して得られた菌(いずれもペレツ菌に相当する物)24時間以内のものを使用する。即前記の菌を「トルジオンスワーゲ」にて減菌生理的食塩水1ミリリットル中に菌量2ミリグラムを含有せしめ、更に之れを摂氏60度の温湯中に1時間加熱し然る後0.5%の割合に石炭酸を加えた。尚一例は菌量千ミリグラムを用いたものもあり。紫外線はバッハ氏人工太陽燈及びクロマイヤー氏燈を使用し、バッハにおいては「アプリケーター」は金属鼻鏡とし発光管との距離を40センチメートルとして5分間照射しクロマイヤーにおいては石英のアプリケーターを用いて3〜5分間照射した。「トリパフラビン」は三共製品の1%の水溶液を綿棒を以って全鼻腔に塗布し然して後直に紫外線を照射した。「トリパフラビン」の塗布は紫外線の感受性増強法を観察するかたわら「ビタミン」Dとの間にその薬品が何等か特種の関係があるに違いないと顧慮したものである。紫外線の増強法としては種々なるものを唱え或いは「コロン」香水を用いて香水中の「ベルガモット」を利用する人もあり。また単に「ベルガモット」の2%の「アルコール」溶液を用いるとも言いまた「トリパフラビン」の静脈内注射の後に照射すると言う人もあり、けれど私は臨床上操作最も容易にしてなお且つ「ビタミン」Dとに関係深き局所粘膜に「トリパフラビン」溶液を塗布して増強法の確実性を比較観察したものである。
第II項 実験的組織検索法
私は先ず臭鼻症患者の局所粘膜の病変を知ろうとして数例の患者の中甲介粘膜の組織標本を作製して鏡見した後これを紫外線で照射して同一人の同所の組織標本を作製して比較鏡見した。尚私は家兎を用いて片側の照射並びに一側にのみ「トリパフラビン」溶液を塗布して増強法を行い夫々各時間的に剖検して組織標本を作り健側と比較研究した。家兎は健康な若いものを選び鼻入口部を開大切開して照射を利便にして「バッハ人工太陽燈」40センチメートルの距離にて5分間毎日連続照射し10日、20日、を限りて剖検し尚「クロマイヤー氏燈」においては2回、5回、10回と照射し夫々剖検後その組織標本を鏡見した。対象として全ての動物は片側のみに操作を加え反対側はそのまま普通の状態として比較し、「トリパフラビン」溶液のみを塗布して照射は行わない動物は鼻口手術のみを行った動物とを対象として鏡見したものである。

第IV章 研究成績
第I項 臨床実験例
A.「トリパフラビン」増強法を施して紫外線照射例
第1例 吉○マ○ 19 女 商
診断 真性臭鼻症 主訴 7〜8年前より悪臭ある鼻漏、鼻腔内痂疲 所見 両側鼻腔高度の萎縮、並びに痂疲形成著明、頭痛あり。ワッセルマン氏反應陰性、上顎竇試験穿刺陰性、鼻腔計測右側I0.8cmII0.7cmIII1.4cm 左側I1.0cmII0.7cmIII1.3cm 治療 右側のみに「トリパフラビン」を塗布し両側に紫外線照射、同時にCa.P.を投薬する照射3回にして自覚的に鼻漏軽減し、局所粘膜は両側共にやや発赤腫脹の傾向にあるがしかし右側は著しく痂疲形成も軽減された、照射5回にして計測は右I0.5cmII0.5cmIII0.2cm 左I0.4cmII0.6cmIII1.3cm 即両側の腫脹狹少を証明し殊に右側著明である、照射8回にして全治した。
第2例 日○綾○ 20 女 農
診断 真性臭鼻症 合併症 篩骨蜂窩炎、神経痛 主訴 3ヵ月前より悪臭性鼻漏、頭重甚だしい、父も同様の疾患あり、所見 両側高度の乾燥萎縮痂疲様分泌物著明、咽頭も乾燥発赤する。上顎竇試験穿、陰性 ワッセルマン氏反應陰性、鼻腔計測 左I1.0cmII0.8cmIII1.6cm 右I0.5cmII0.7cmIII1.4cm 治療 左側鼻腔「トリパフラビン」を塗布し両側に紫外線照射を初める。照射第2回頃は分泌物一時に増量の頃ありしも5回には漸次減少し痂疲形成消退し粘膜は発赤腫脹した、時に計測数は左I0.8cmII0.7cmIII1.4cmと成り甚だしく軽快した。照射8回にして軽快一時治療は中止する。その後一カ月を経て来院するも粘膜の腫脹は前と変わり無く維持されているが分泌物は少々増加しており痂疲形成も認めた。これは筋骨蜂窩の炎症に妨げられたものと考えられる。
第3例 ○井○子 16 女給仕
診断 痩削性鼻炎 主訴 一年前より鼻漏頭重、咽頭乾燥感 所見 中等度の鞍鼻、鼻腔萎縮高度なるも痂疲形成は認めず ワッセルマン氏反應陰性、計測 右I0.6cmII0.7cmIII1.6cm 左I0.85cmII1.0cmIII1.6cm 治療 左側鼻腔に「トリパフラビン」塗布、両側紫外線照射2回にして分泌物は著明に減少したが鼻腔間の差は未だ認められず然るに照射5回にして粘膜は発赤腫脹し10回にして格段の差を認め即 右I0.4cmII0.5cmIII1.4cm 左I0.5cmII0.6cmIII1.2cm 両側の腫脹著明なるも左側「トリパフラビン」軟膏塗布の側は頗る著明に成り照射15回にして分泌物全く止み全治した治療後二ヶ月にして再来されたのを診たるに全く治療直後と変わりなく全治して居た。
第4例 池○カズ子 18 女 看護婦
診断 痩削性鼻炎 主訴 4年前より鼻漏頭重甚しく咽頭乾燥感著しい昨年太陽灯を8回照射して一時軽快したるも再び増悪の兆しありと 所見 中等度の萎縮痂疲形成は無し乾燥甚だしい、上顎竇試験穿陰性 ワッセルマン氏反應陰性「ビルケ」反応陰性。計測左I0.6cmII0.5cmIII1.5cm 右I0.6cmII0.7cmIII1.4cm 治療 まずCa Pを与え連日服用させ両側に「トリパフラビン」を塗布し右側のみ照射する。照射3回にては左右何ら異常なきも5回にして右側は稍発赤腫脹し10回にしてすこぶる著明と成り右I0.3cmII0.4cmIII1.0cmと成り左は変わり無し。次に左側を照射して前後20回遂に全く治療するに至った。
第5例 清水○野 25 女 教師
診断 痩削性鼻炎 合併症 耳硬化症 主訴 数年前より咽頭乾燥感、鼻漏甚だしい 3年前鼻内「パラフィン」挿入手術を受けるも署効無し 所見 両鼻腔全体高度の萎縮、鼻底はやや膨隆する ワッセルマン氏反應陰性、計測左I0.85cmII1.1cmIII1.6cm 右I1.0cmII1.2cmIII1.8cm 治療 Ca.P、内服を命じ、右側のみ「トリパフラビン」を塗布し両側に照射する、照射5回にして左右格段の差を認める事はできないにしても自覚的には良好を告げ照射10回にして計測左I0.8cmII1.0cmIII1.5cm 右I0.7cmII1.0cmIII1.4cmなり、右側甚だ著しきを見る。本例は鼻腔の痩化著明なるも咽頭は軽快せず照射20回にて全治する。
第6例 ○原○雄 20 男 農
診断 痩削性鼻炎、慢性複合性蓄膿症 主訴 数年前より頭痛甚だしく昨年より鼻漏鼻閉悪臭有り 所見 高度の萎縮中鼻道膿汁著明、篩骨蜂窩膨大、上顎竇試験穿両陽性、計測右I1.0cmII1.1cmIII1.8cm 左I1.1cmII1.2cmIII1.8cm 治療 両側上顎の根治手術、両側篩骨蜂窩(しこつほうか)開放、P,Ca.の投与。かくて蓄膿症全く治癒して後両側に同程度に紫外線照射を始める、手術のため一時鼻腔拡大する気配あるも5回照射後は右I0.9cmII1.0cmIII1.8cm 左I1.0cmII1.0cmIII1.8cm。15回照射後はようやく狭隘となり右I0,7cmII0.8cmIII1.7cm 左I0.9cmII0.9cmIII1.8cm 即ち本例は手術するとまた、「トリパフラビン」塗布を行わずにして左右略同様にして著しく奏効顕著になることを認められ得なくても計数の示すごとく軽度に奏効することは事実である。
第7例 ○上○美 19 女 農
診断 痩削性鼻炎、篩骨蜂窩炎 所見 高度萎縮痂疲形成は著明でないものの篩骨蜂窩炎の炎症は高度であり上顎竇試験穿陰性 ワッセルマン氏反應陰性 治療 両篩骨蜂窩の開放を行いその全く治療されたことを待ち照射を始める。痂疲は尚存在する。計測左I0.8cmII1.1cmIII1.6cm 右I0.8cmII1.0cmIII1.6cm 右側に「トリパフラビン」を塗布両側に照射、照射5回にして左側は状態に変わりないが右側は痂疲全く消褪し粘膜の発赤腫脹を認める計測右I0.7cmII0.9cmIII1.5cm 10回にして左右共に全快する。
第8例 ○谷ト○ 18 女 炊事婦
診断 痩削性鼻炎、上顎竇蓄膿 主訴 幼時よりの高度の鼻漏 所見 両側鼻腔高度の萎縮、中鼻道の膿汁痂疲形成は無し。上顎竇試験穿陽性 ワッセルマン氏反應陰性、計測左I0.7cmII0.5cmIII1.4cm 右I0.5cmII0.5cmIII1.5cm 治療 上顎の根治手術を施行せずに両側照射を行う3回にして両側共に良好にして自覚的に良し5回にして計測左I0.6cmII0.5cmIII1.5cm 右I0.5cmII0.4cmIII1.3cm 1週間の中止期間の後萎縮は大いに軽快するも膿汁の分泌は尚著明にして即根治手術を行いたいと欲するも患者の都合にて施行する事能わず止むを得ず手術を成さず照射のみを続行しCa.P.を連用する即ち局所の腫脹は著しく良好と成りたるも分泌物は全く停止するに至らない。
第9例 ○野○三郎 16 男 農
診断 痩削性鼻炎、篩骨蜂窩炎 主訴 3年前よりの鼻漏鼻閉頭重 所見 両側鼻腔高度の萎縮、痂疲様分泌物過多、上顎竇試験穿陰性 ワッセルマン氏反應陰性、篩骨蜂窩膨大 治療 先ず篩骨蜂窩、手術を終わりて照射を初める術後の計測は左I1.0cmII0.7cmIII1.4cm 右I0.7cmII0.9cmIII1.9cm 左側に「トリパフラビン」塗布照射右側は照射せず3回にして左側の分泌物減し発赤を認め5回にして左I0.8cmII0.6cmIII1.2cmを算し8回にして左右の差著しく左側の腫脹は極めて著明にて分泌物も全く停止するに至った。
第10例 ○ナホエ 21 女 工手
診断 真性臭鼻症 主訴 鞍鼻3年前より悪臭鼻漏痂疲増殖 昨年田中式手術を施行して一時軽快するも痂疲形成悪臭は治せず頭痛甚だしい 所見 両側鼻腔高度の萎縮悪臭有り痂疲多量 上顎竇試験穿陰性 ワッセルマン氏反應陰性、計測左I1.2cmII1.2cmIII1.8cm 右I1.0cmII1.2cmIII1.6cm 治療 Ca.P.を投与し、左側に「トリパフラビン」を塗布する両側照射 照射5回にして左側 軽快なるも顕著な変わり無く10回にして両側の発赤腫脹かなりに著しく成るも翌日は尚痂疲形成を認めた。本例は中々重症な例にして20回にして左側漸く痂疲軽減し腫脹も顕著となり計測左 I0.3cmII0.7cmIII1.5cm 右I1.0cmII1.0cmIII1.5cmされど尚右側は痂疲著明なり更に30回を照射し痂疲漸く菲薄となり腫脹は高度となり自覚的にも良く照射40回にして漸く全治した治療後一ヶ月の後観察すると腫脹は著明に遺残するも尚軽度の薄い痂疲様物を認めた。
第11例 ○野○子 19 女 事務員
診断 痩削性鼻炎 主訴 2年前より鼻漏鼻閉、昨年紫外線5回の照射を受けしも軽快せず 所見 両鼻腔高度の萎縮、痂疲は無きも分泌物多量なり上顎竇試験穿陰性 篩骨蜂窩亦異常無し ワッセルマン氏反應陰性、計測左I0.7cmII1.cmIII1.4cm 右I0.8cmII1.2cmIII1.5cm 治療 左に「トリパフラビン」塗布し左側のみに照射す(本例のみ10分間の照射)3回にして左側は分泌物頗る減少し5回にして発赤腫脹著明 右側は何等変化無し即ち計測はI0.6cmII0.8cmIII1.2cmと成る。
第12例 ○山○ 17 男 学生
診断 臭鼻症 主訴 一年前より鼻漏咽頭乾燥感、頭痛、所見 両鼻腔、萎縮痂疲悪臭、上顎竇試験穿陰性 計測左I1.0cmII1.0cmIII1.5cm 右I1.0cmII0.9cmIII1.4cm 治療 右側に「トリパフラビン」を塗布両側に照射、4回の後の状態は痂疲は漸く菲薄となり粘膜は腫脹発赤著明と成り10回にして益々良好と成り計測左I1.0cmII0.9cmIII1.4cm 右I0.8cmII0.8cmIII1.2cmを示す。
第13例 ○國○一 30 男 商
診断 臭鼻症 主訴 5年前より悪臭鼻漏、咽頭乾燥、頭痛 所見 全鼻腔高度に萎縮、擴潤、著明なる痂疲にて充満し咽頭後壁に及ぶ、上顎竇試験穿陰性 ワッセルマン氏反應陰性 計測左I1.2cmII0.8cmIII1.8cm 右I1.3cmII0.5cmIII2.0cm 治療 両鼻腔を「トリパフラビン」溶液にて洗滌して両側同時に照射を始め P.Ca. 投与3回にして何等変化なく5回なるも尚痂疲形成依然あり。10回にして漸く痂疲の軟化菲薄になる傾向を示し自覚的にも良しされど2〜3日照射し休止すれば又痂疲生じようとする 照射20回にして軽快の域に達し計測は左I0.8cmII0.5cmIII1.6cm 右I1.0cmII0.4cmIII1.8cmとなり患者の都合によって来院せず本例は余り奏効顕著と云い難く中々頑固なる例であった
第14例 ○田○代 18 女 看護婦
診断 痩削性鼻炎扁桃腺肥大 所見 鼻腔萎縮中等度 鼻漏 上顎竇試験穿陰性 計測左I0.5cmII0.6cmIII1.6cm 右I0.5cmII0.5cmIII1.5cm 治療 両側そのまま同時に照射、Ca.P.投与する、2回の照射にて分泌物頓に減少し局所、発赤充血著明なり 5回にして殆ど全治と稱せられる程度に奏効され計測 左I0.3cmII0.4cmIII1.4cm 右I0.4cmII0.3cmIII1.3cm 本例の如きは特に奏効顕著なる例なり。
第15例 ○三郎 21 男
診断 痩削性鼻炎 所見 高度の萎縮殊に左側甚だしい 治療 左側に(悪しき方)「トリパフラビン」塗布後両側照射5回にして奏効顕著、計測の比は
前左I0.85cmII0.7cmIII3.0cm
 右I0.5cmII0.3cmIII1.4cm
後左I0.7cmII0.5cmIII1.4cm
右I0.5cmII0.3cmIII1.4cm
本例も奏効著明なる例なり。
B.「ビタミン」Dを與へて紫外線照射を行いたる例、(第16例より)
第16例 ○田○輝 40 男 僧侶
診断 痩削性鼻炎 所見 高度の萎縮痂疲形成著明ならざるも汚穢の分泌物過多、上顎竇試験穿陰性 ワッセルマン氏反應陰性、計測左I0.7cmII1.0cmIII1.7cm 右I0.7cmII0.9cmIII1.6cm 治療 先ず「ヴガントール」投与をなし両側に紫外線照射を併用する。照射2回にして分泌物は著しく減少し局所粘膜充血の兆し有り。5回にして粘膜の発赤頗る著明となり所々凹凸不同に隆起する 8回にして計測右I0.5cmII0.8cmIII1.4cm 右I0.6cmII0.7cmIII1.4cmを算し自覚的にも非常に爽快を訴える「ヴガントール」12日連用にて全治した。
第17例 ○村○信 18 男 僧侶
診断 臭鼻症 所見 痂疲形成著明なり悪臭あり 治療 「ヴガントール」投与のみの観察なり 先ず他の療法を一切用いず「ヴガントール」20滴を毎日投へ毎日観察する。投与3日になるも格別の変状なく痂疲は依然全鼻腔に固着せり然るに一週間に至りて痂疲は漸次軟化液状と成りて固着せず ために患者は一時分泌物増加を訴えるに至れり 2週にして自覚的に頓に軽快し痂疲も殆ど消褪する されど分泌物は尚中等度にあり全治とは云い難きも頗る軽快した例なり
第18例 ○谷○子 20 女 農
診断 臭鼻症 所見 萎縮乾燥、中等度の痂疲 治療「ヴガントール」投与、両側紫外線照射、3回の終りに痂疲は軟化の兆あり 粘膜も稍発赤する 5回の終りに至りて痂疲殆んど消失し 自覚的に軽快を唱え引き続き加療の予定なおも患者家事の都合にて中止する。
第19例 ○か○ 13 女学生
診断 臭鼻症 所見 高度、 萎縮汚穢の分泌物多量、咽頭乾燥感、口蓋扁桃腺大なり 治療「ヴガントール」投与、紫外線照射 本例は非常に奏効顕著にして2回の照射にて驚くべしき分泌物の減少、局所粘膜の発赤腫脹を来たし5回にして全く分泌物止む、8回の終りには全く全治の状態と成れた、計測の比較次の如し
治療前左 I0.9cmII1.0cmIII1.2cm
   右 I0.7cmII0.9cmIII1.0cm
治療後左 I0.5cmII0.8cmIII1.0cm
   右 I0.4cmII0.6cmIII0.8cm
第20例 ○○田○子 20 女 農
診断 臭鼻症 所見 高度の萎縮、分泌物も多量、咽頭乾燥、口蓋扁桃腺両側共肥大する。計測左 I0.7cmII0.8cmIII1.6cm 右I0.85cmII1.0cmIII1.7cm 治療 「ヴガントール」投与、紫外線照射を併用する3回後左側に比し粘膜の発赤腫脹は著明なり分泌物は両側共に著しく減退する7回の後一層著明となり自覚的に爽快を唱える計測左I0.5cmII0.6cmIII1.4cm 右I0.7cmII1.0cmIII1.6cm 即ち両側共に奏効顕著なりしも左側殊に著明なり。
第21例 ○○田○子 20 女 農
診断 臭鼻症 所見 萎縮は著明ならざるも痂疲形成甚しく咽頭乾燥口蓋扁桃腺肥大する。計測右I0.3cmII0.5cmIII1.8cm 左I0.5cmII0.5cmIII1.5cm 治療 「ヴガントール」内服、一週間の後痂疲は軟化し 漸く次に分泌物減少す されど萎縮の程度には著しき変化示せず次に「ヴガントール」連用の傍ら紫外線を両側に照射するに照射2回にして分泌物減少す 同時に粘膜の発赤腫脹著明となり照射5回にして計測は 右I0.2cmII0.3cmIII1.4cm 左I0.3cmII0.5cmIII1.5cm と成れり 即ち本例は「ヴガントール」2週間、照射5回にして全治する。
第22例 ○井○士 21 男 農
診断 痩削性鼻炎 所見 痂疲形成は認めざるも萎縮高度にして両側扁桃腺肥大する。計測 右I1.0cmII1.3cmIII1.8cm 左I1.0cmII1.2cmIII1.8cm 治療 「ヴガントール」投与、同時に右側に「トリパフラビン」を塗布して両側に紫外線照射を行う。照射3回にして粘膜の発赤腫脹著明となり殊に右側に於いて然り、計測右I0.7cmII1.3cmIII1.5cm 左I0.9cmII1.2cmIII1.6cmなり 更に続く事8回の終りには右I0.5cmII1.0cmIII1.4cm 左I0.8cmII0.8cmIII1.5cmと成れるを確かめた。
第23例 ○津○サ子 16 女
診断 痩削性鼻炎 所見 痂疲形成は無きも萎縮高度分泌物過多有り。計測右I0.7cmII0.8cmIII1.4cm 左I0.6cmII0.7cmIII1.2cm 治療 「ヴガントール」投与右側にのみ照射を試みる照射2回にては格別両側の差を認めざりしも5回にして右側は分泌物減少し粘膜の発赤充血著明となり腫脹し来る。計測 右I0.5cmII0.5cmIII1.0cm 左側は変わらず 次いで左側にも照射を行い前後10回にして両側とも全快する。
第24例 ○廣○ヨ 26 女 工手
診断 痩削性鼻炎 所見 2年前上顎蓄膿症の手術を受けたと云うも分泌物尚多量に有り 萎縮高度なり 計測左I0.8cmII1.0cmIII1.4cm 右I1.1cmII1.2cmIII1.6cm 治療 「ヴガントール」投与右側に「トリパフラビン」塗布、両側に照射を行う照射3回にして分泌物減退、粘膜の発赤著明なり殊に右側然り右側の計測I0.7cmII1.0cmIII1.6cmなり。
第25例 ○林○郎 17 男 学生
診断 痩削性鼻炎 所見 両側鼻腔高度に萎縮し分泌物も多し 篩骨蜂窩も中等度に膨隆
するも上顎は両側共に陰性なり。計測右I1.0cmII1.2cmIII1.8cm 左I1.1cmII1.0cmIII1.8cm 治療 本例は左側に「トリパフラビン」を塗布し右側はそのままとして両側に照射する。照射5回にして計測は左I0.7cmII0.85cmIII1.6cmとなり右側は変化なし。分泌物も驚く程軽減し自覚的にも良し、更に右側にも塗布し照射を続行し10回の終りには驚くべき局所の腫脹を認め右側は実に右I0.5cmII0.6cmIII1.2cm 左I0.6cmII0.3cmIII1.4cmと成る。本例は「ヴガントール」を使用せず紫外線増強法のみを以って治療した例なり。
第26例 ○島○恵子 22 女 工手
診断 臭鼻症 所見 両側鼻腔の萎縮と痂疲形成悪臭有り、咽頭も乾燥痂疲形成有り 咽頭も同様乾燥し披裂軟骨付近は痂疲を以って被われる 治療 先ず「ヴガントール」の内服を命じ咽頭並びに喉頭に石英導子を挿入して紫外線を照射するに2回にして咽頭喉頭の痂疲は全く消褪する。次に「ヴガントール」の内服は依然続行し鼻腔にも同様照射を始め照射3回にして同様痂疲形成は全く消褪し容易に治癒状態と成った。本例は鼻咽喉と全上気道の総合的の例にして同時に「ヴガントール」と紫外線の併用にて容易に治癒した例なり。
第27例 ○林○子 18 女 事務員
診断 痩削性鼻炎 所見 両側鼻腔高度の萎縮と篩骨蜂窩炎あり、中鼻道は鼻茸を以って埋まる 治療 先ず両側鼻茸並びに篩骨蜂窩の手術を行い然る後両側に紫外線を照射する(両測「トリパフラビン」塗布)本例は3回〜5回にして尚分泌物減少せず治癒遅く照射10回にしてようやく分泌物減少し計測も
前左I1.0cmII0.6cmIII1.4cm
 右I1.0cmII0.6cmIII1.4cm
後左I0.9cmII0.5cmIII1.4cm
 右I0.8cmII0.5cmIII1.2cm
ようやく軽快したと思われた。
第28例 ○上○子 16 女 農
診断 臭鼻症 所見 高度の鞍鼻、鼻腔内悪臭ある痂疲充満する、咽頭も乾燥痂疲を認め口蓋扁桃腺肥大する、上顎竇試験穿陰性 ワッセルマン氏反應陰性、計測左I0.7cmII0.5cmIII1.6cm 右I0.5cmII0.5cmIII1.6cm 治療 先ず「ヴガントール」のみを与えて観察するに3日連用の後に厚き痂疲は漸く次に軟化し粘膜と密着せず粘膜自体も全く変化は無く計測にも差違を認めない。次に内服は続行して更に紫外線の照射を併用したるに照射1回にして粘膜の発赤充血腫脹を認め分泌物も著明に減少す。照射5回にして益々軽快し計測は左I0.5cmII0.4cmIII1.2cm 右I0.3cmII0.4cmIII1.4cmとなり自覚的に全治したことで治療を中止する。
第29例 ○淵○子 20 女 看護婦
診断 痩削性鼻炎 所見 左側鼻腔内高度の萎縮、篩骨蜂窩やや肥大し分泌物多し 治療 先ず「ヴガントール」内服を与え局所を観察するに内服5日にして局所を見るに格別の変化もなく計測にも変わりなし依って同時に左側に紫外線を照射するに照射3回にして分泌物の減少の局所粘膜の発赤腫脹著しく照射7回にして計測は前は左I1.1cmII0.5cmIII1.8cmなりしが後に左I0.85cmII0.5cmIII1.4cmとなりて全治する。
第30例 ○野○子 21 女
診断 臭鼻症 所見 両側鼻腔高度に萎縮し中鼻道より咽頭後壁に亘りて厚き痂疲を密着する 口蓋扁桃腺も肥大する、上顎竇試験穿陰性 ワッセルマン氏反應陰性、計測左I0.85cmII0.6cmIII1.8cm 右I0.7cmII0.85cmIII1.6cm 治療 先ず痂疲を除去して紫外線照射を試む照射3回にして粘膜は発赤腫脹すれども痂疲は依然消褪せず 5回に至るも未だ変化なし 「ヴガントール」の投与を始め照射と併用するに服用3日にして痂疲は軟化して固着せず漸次稀薄となり粘膜の発赤腫脹も著明となり服用5日の終りには計測は左I0.6cmII0.5cmIII1.5cm 右I0.7cmII0.7cmIII1.4cmと成りそして前後服用10日、照射15回にして全治する。
C.紫外線「ビタミン」D並びに自家「ワクチン」を併用した例
第31例 ○宅○ 21 男 店員
診断 高度の臭鼻症 所見 両側鼻腔の痂疲形成甚だしく高度に萎縮し咽頭も乾燥痂疲あり。口蓋扁桃腺肥大する計測左I1.0cmII0.8cmIII1.5cm 右I0.8cmII1.0cmIII1.8cm ワッセルマン氏反應陰性 上顎竇試験穿陰性 治療 先ず左側「トリパフラビン」を塗布し両側に紫外線照射を試む。 照射5回にして局所粘膜の腫脹発赤は著明なるも(殊に左側)痂疲は少しも消褪せず、依って「ヴガントール」を20滴より内服を命じ漸次増量す内服3日にして痂疲はやや軟化の傾向も有るも翌日は更に固着して居り内服8日照射13回にして計測は狹少となり分泌物は減退すれど痂疲は如何にしても消褪せず紫外線増強法また効なし依って鼻腔内痂疲より自家「ワクチン」を製造し始め0.2ccより毎日0.1宛を増量して皮下に注射するに注射5回にして痂疲は著しく稀薄となり更に10回の注射にて痂疲は殆んど消褪し15回にして、全く治癒した。
第32例 ○内○隆 28 男 鉄道員
診断 高度の臭鼻症 治療 一ヶ年前上顎竇炎並びに篩骨蜂窩炎の手術を受けて治癒した所その後鼻腔内乾燥痂疲形成甚だしくなったと、両側共固有鼻腔は篩骨蜂窩の手術腔とは一つの大なる空洞を形成し異状に廣汎にして粘膜は平滑なるも極めて厚き痂疲を以て被われる 試しに痂疲を鏡検するに「ペレツ」菌を発見す 咽頭も同様乾燥痂疲著明、口蓋扁桃腺も腫大す 治療 先ず「ヴガントール」の内服を一週間連用すると痂疲は稍軟化の傾向をとれるも尚厚く固着す更に紫外線の照射5回を試むも依然痂疲は消褪せず、依ってその痂疲中より自家「ワクチン」を製して先ず0.3ccより毎日0.1cc宛増量して注射するに注射5回にして痂疲の軟化、稀薄著明となり、10回にして益々良好となり3週間の連続注射にてさしも頑固なる痂疲形成も全く姿を没するに至り全治する。
第33例 ○山○三郎 19 男 農
診断 高度の臭鼻症 所見 本例も悪臭ある高度の臭鼻症にして篩骨蜂窩炎を合併する。ワッセルマン氏反応陰性 治療 先ず両側篩骨蜂窩を手術し同時に「ラジヲストール(ヴガントール以外のビタミンD製剤)」を内服する。術後篩骨蜂窩は完全に治療したるも痂疲形成は依然あり。依って紫外線照射を試むに照射5回にして粘膜の腫脹発赤はやや著明なるも痂疲は少しも消褪の傾向なく照射10回なるも著効なし。依って痂疲中より自家「ワクチン」を製し0.2ccより漸次増量し内服と照射と注射を併用する。注射5回にして痂疲は漸次稀薄となり10回にして殆んど認め得ない程度となり15回にして全く治癒に赴きたり。2週間後の再診に全く治癒して居た。
第34例 ○西○ヱ 21 女 女給
診断 臭鼻症 所見 両側鼻腔中等度に萎縮、されど痂疲形成は頗る高度なり。上顎竇試験穿陰性、ワッセルマン氏反應陰性 治療「ラジヲストール」を與へ紫外線を照射す5回にして著効を見ず、10回にして未だなし、依って自家「ワクチン」を作製して注射する、注射5回にして(内服照射併用)痂疲軟化稀薄となり分泌物減少し粘膜の腫脹発赤も顕著となり、10回にして殆んど全癒する。その後一ヶ月を経過して来院するも痂疲は全く認められない。
第35例 ○本○力 28 女 工手
診断 高度の臭鼻症 所見 鞍鼻、鼻腔内高度の萎縮と著明なる痂疲形成、上顎竇試験穿陰性、ワッセルマン氏反應陰性、計測左I0.7cmII1.0cmIII1.8cm 右I0.7cmII1.2cmIII1.6cm 治療 先ず「ヴガントール」の内服を命じ同時に紫外線照射を行う、5回にして自覚的稍軽快の感ありしも痂疲には著効なく15回にして尚未だ無し更に10回前後20回の照射及び内服にて痂疲の軟化やや顕著となるも尚全く治癒に至らず 依って痂疲より自家「ワクチン」を製して0.2ccより注射を始め注射5回にして著効を認めず 10回にしてやや痂疲の稀薄となる感あれど全治とは云い難し 一時治療を中止し約一ヶ月後に来院される時は痂疲は再び中等度に被蓋し乾燥する 依って更に「ヴガントール」並びに紫外線を併用し「ワクチン」は前回の倍に膿厚としたるものを作製して注射する、かくて漸く痂疲も消褪し最初より要する「ヴガントール」は総量850滴、照射40回 注射約15ccにして初めて治癒の状態となり計測は左I0.6cmII0.9cmIII1.6cm 右I0.5cmII0.6cmIII1.5cmとなる。その後4週の後再検するに不幸にも尚若干の痂疲の付着するのを認めた。
第II項 組織学的検査成績
No1.隔側鼻腔に太陽燈20回照射した家兎
鼻中隔に於いて照射側と照射をせざる普通の側とを比較するに照射側粘膜に於いてはその上皮層は著しく膨大して高く、固有層に於いては白血球の浸潤著明にして血管は充血し内腔には赤血球を充満する。若き血管の新生等ありて換言すれば慢性の炎症状態を呈するなり。鼻天蓋より甲介粘膜に至りては上皮の膨大特に甚だしく殆んど尋常側の倍となり充血も高度なり。軟骨、骨組織には異常なし。
No2.偏側鼻腔に「トリパフラビン」増強法を施し太陽燈20回照射の家兎
「トリパフラビン」液を塗布して照射する側は上皮の膨大更に著しく固有層の反応また極めて著明なり。然して上皮層はその高さに於いて著しく膨大すると同時に周囲に向かっても増大し、ために上皮層は襞を生ぜし如く皺壁を形成するを認める。
No3.一側に「トリパフラビン」のみを数十回塗布して照射しない家兎
本標本に於いては上皮は両側共に少しの変化も呈せず塗布側に於いてただ所どころ上皮の剥脱消失する部分を見、上皮の膨大は僅かも認めず固有膜に於いても更に充血浸潤を認めず。
No4.片側鼻腔に「クロマイヤー」氏燈3回照射の家兎
上皮の変化は左右格段の差を認め難きも上皮下組織に於いては照射側は著しく充血肥厚し高度の白血球の浸潤を認められる。されど一般に照射僅少なる組織に於いてはその変化もまた頗る顕著なるものとは言い難し。
No5.偏側鼻腔に「クロマイヤー」氏燈10回照射の家兎
照射側の上皮層は尋常側の約2倍となれるを認める。又上皮下組織に於いても充血浸潤著明にして「プラスマ」細胞多数にして恰も肉芽組織の状態を呈する。
No6.偏側鼻腔に「トリパフラビン」塗布クロマイヤー氏燈10回照射の家兎
本標本に於いては前者と略相似たる變像を認むるも「トリパフラビン」塗布照射の側は前者に比し上皮は甚だしく汚穢となりて一部破損すれども一般に著しく肥厚して居る。固有層また充血膨大著明なり。
No7.人に於いて真性臭鼻症患者に太陽燈20回照射後の組織標本
高度なる真性臭鼻症患者に太陽燈を照射し照射前の組織と照射後の組織を比較鏡見するに照射後の標本に於いて上皮は驚くべき膨大を示しその高さに於いて又幅において著しき膨大拡張するを認めるべし。上皮下組織に於いては動物と異なり照射前己に円形細胞の浸潤はあれど充血、組織の膨大等は無し。然るに照射後に於いては浸潤は極めて著しく且つ充血肥厚も甚だしく粘膜線発育増殖するを認むるべし。
(本項総括 要するに粘膜に紫外線を照射した組織標本に於いては上皮の肥厚膨大極めて著しくその高さを増すのみならず周囲へも膨大してその為に表面は皺壁を生ずる観あり。又固有層に於いては充血、浸潤著明にして全体に肥厚増大し線分泌旺盛となり恰も慢性の炎症に於ける肉芽組織の状態を呈するものである。

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 スペシャル  - 16/12/17(土) 19:52 -

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   第V章 総括考案
上述の実験を通覧するにAに於いて即ち第1例より第15例の痩削性鼻炎並びに臭鼻症に於いて或いは片側或いは両側に紫外線を照射するに、それ何れも局所の発赤腫脹は顕著にして早きは3日遅くとも10日にして治癒傾向をとること事実である。然して局所に「トリパフラビン」を塗布して感受性増強法を施し、然る後、照射すれば一層奏効顕著なることを目撃した。この増強法は注射その他の方法と異なりその操作極めて簡単なるを以って吾人臨床上に推奨するに足りる方法であると信ずる。然して私の実験する所に依ればその鼻腔内計測数に於いて少なくとも0.1cmより、著明なるものは0.4cmの局所の腫脹を証明した、尚増強法を施した側と他側単純照射側との差に於いても約0.1前後の差あるを認めた。然して単純性痩削性鼻炎に於いては殆んど総てに(100%に)奏効するを認めたるも、これに反し所謂臭鼻症に於いては照射のみでは更に増強法を用いるも一向に治癒傾向をとらざる例を目撃した。例えば第10例の如きは照射30回を重ねるも軽快せず40回に及びて辛うじて総治癒状態を呈する有様であった。然るにB第15例より30例までに於いては頑固なる臭鼻症にはP.Ca.以外に「ヴガントール」「ラジヲストール」等の「ビタミン」D製剤を内服させて同時に照射するに単に照射のみ行うものと「ビタミン」投与を併用するものとの比はグラフで見ても異ならず、すなわちまず痂疲は3〜5日より軟化融解し、その為に一時分泌物過剰と成るも5〜8日よりは分泌物減少し10日後にはかなり重症なる例においても痂疲の消褪、局所粘膜の発赤腫脹著明となりその大部分は全治することを認めた。然して全治後一週間或いは一ヶ月後に於いて観察するもその大多数は再発するものは無かった。然るにこの「ビタミン」D並びに紫外線照射を併用するにもかかわらず尚痂疲形成頑固にして如何にしても消褪治癒せざる数例あるを認めた。この所に於いては私はその去就に迷い「ビタミン」並びに照射併用の傍ら更に患者の自家「ワクチン」を制作して患者に注射するに注射一週間にして痂疲は漸次軟化稀薄となり二週間すれば全く全治したのを認めた。(第31例〜第35例)然るにこの三者併用の中にも第35例のみは一時全治の状態と成りしも治療後四週間にして再検するに不幸にも再び若干の痂疲形成を認めた。かかる例は更に何物かの付帯して起きるものにして臭鼻症の益々複雑不可解なるものなるを物語れると言うごとし。要するに私の実験例に於いては単純なる痩削性鼻炎は殆んど全部が紫外線のみにて全治し(主に感受性増強法を応用して)更に臭鼻症に於いて紫外線のみにて全治しないものも「ビタミン」Dの併用によりて殆んど全治する結果を得られた。然るに尚極めて重篤なる少数例にありては紫外線「ビタミン」に加えて更に患者の自家「ワクチン」の注射により始めて満足なる結果を得たのである。私は上述の実験例よりして直に不可解極まりない臭鼻症の本體を云々するにはあらざるも前述の事実は明らかに単純な成因により醸するものにあらずして少なくとも数多くの要約の合併して来るものなることは想像するに餘りあり。然して私の実験例に於いては何れも血液のワッセルマン氏反応は陰性にして副鼻腔もまた異常なきを確かめて置けた。(蓄膿症あるものは手術して後照射する)然して35例中男12、女23にして女子は3分の2を占め、職業に於いても給仕、女工等の大部分なること先人の言う所に一致し、比較的下層社会の思春期の婦人に多きを示せるのである。次に私はこれら患者の食事の好き嫌いの統計を取りたるに大部分は魚肉、海藻類を嫌い果物野菜などを好む。また婦人の月経初潮とその状態を調査するに何れも初潮期遅く且つ量少なくまた不順の者多くあり。(この臭鼻症患者の食養問題並びに月経に関する問題は極めて興味ある所にして著者は後日稿を改めて執筆すると欲するゆえ本篇にはその詳細を略することとする)。さて紫外線照射が何故にその病の局所粘膜に奏効するのかを考えることは紫外線の生物学的作用を考究すれば容易に首肯し得るべき問題である。日光は植物に附し其の葉緑素形成に缺くべからざる如く人類に於いてもまた日光の極めて大切なることは周知の事実である。然して日光の重要なる所要はその内に含まれる紫外線の作用に帰せられる。紫外線は生物の生活機能に附して興奮性作用を有し、照射後血行旺盛となり細胞分裂が行われる事実である。レヴィーハ「マウス」に短時間の照射を行えば白血球、血色素の増加は無論、肝脾肺にも多少の充血を起こすとさえ言える。新陳代謝に及ぼす作用は最も重要にして酸化作用還元作用共に旺盛となり脂肪蛋白質等の代謝機能も認められる状態である。果たして然らば粘膜に於ける照射は如何にと、私は私の実験に於いて上述の如く家兎鼻粘膜に一度紫外線が照射されると局所の血行旺盛となり上皮細胞の分裂の為に上皮層は高く周園に向かっても膨脹し粘膜下組織もまた増殖肥厚するを目撃した、所謂 人の臭鼻症の鼻粘膜は全般に萎縮状態となれるものなれば之に紫外線の作用せんか、臨床上の局所の発赤腫脹は組織学的にまた各組織の充血肥厚細胞分裂を証明して余りあり。これ単純性痩削性鼻炎が100%に治癒する所以である。されど紫外線は尚局所のみならず全身的に新陳代謝その他にも影響を及ぼすものなる故他方全身的関係も考慮しなければならない。飜って今日臨床上に於いて単純性痩削性鼻炎なるものと所謂臭鼻症との間に果たして確然たる境界を定め得べきや否や。また私は実験例に於いて単に紫外線のみにて治療できるものとできないものとがあり。これ誠に注目すべき問題であるとされる。即ち吾人が肉眼にて視診した所見のみにて直に以て局所粘膜の状態を診定し或いは全身的新陳代謝の情勢を付度するは無謀極まるものにしてかかることなしに日常吾人は軽率にも痩削性鼻炎と稱し臭鼻症と唱えたるに過ぎざるがごとし。臭鼻症問題が解決の域に達するのは正に本問題にして臨床上痩削性鼻炎と臭鼻症との間に確然たる境界を定められないのもまた故無き為に違い無いのである。私は本実験に於いて臭鼻症患者に紫外線の奏効する者と否と有りし事実に鑑み、これは正に局所粘膜の感受性如何が主なる原因では無いかと思惟する。即ち紫外線は或る種體質の組織には鋭敏にして或る種耐體質のものには鈍なるは己に証明せられたるところである。即ち「ビタミン」D欠乏による拘僂病に紫外線の奏効するは今日明らかに実証せられし所にしてかかる体質のものにその欠乏する要素を與へ然して更に照射を試みるは当然の理である。吾が臭鼻症が「ビタミン」D欠乏なるか否かを断定する前に私の実験例を詳さに検索すればまた容易に次の事実を考察するを得べし。即ち臭鼻症が単に新陳代謝異常のみならず或る特種の病原によりて釀されるは己にLow-enherg.ロー-エンハーグ Abel.アベル Perez.ペレツ 等の証明する所にして又もし本症が此れ等の「Ozena coccobacillusオゼナ コクコバチルス」に非ずとするも之れに似て否なる同属異種の細菌の附随するは何人も異論なせぬべし。私は私の実験に於いて紫外線並びに「ビタミン」D併用にして尚全治せざる極めて頑固なる症例に臨み患者の自家「ワクチン」を使用して全治せしは前述の如し。さればその奏効の悉くを一二歸せんとするのは暴なるも少なくとも自家「ワクチン」の作用が幾分の役割を占めて居ることは否むべからざるのである。私は本研究に於いて臭鼻症の原因が何物なるかを断言せんとするものには非ざるも数多の実験例に於いて少なくとも紫外線「ビタミン」D並びに自家「ワクチン」の奏効し然もこれ等の作用に依らざるべからざる事は注目に値すべし、即ち臭鼻症なるものは決して単一の原因に依りて惹起せられるものにはあらずして数種の要約の合成して始めて成立するものでは無いだろうか、然して新陳代謝異常「ビタミン」D欠乏、及び特種細菌はその大部分の要約と見越して過ちは無いのであると信ずるものである。然して単純性痩削性鼻炎の行きつく所と言う臭鼻症域はその他類似のものもこれら要約の付随する如何によりて臨床上に於いても各種各様の症状を呈するものなるべきは想像するに餘りあり。要はその発来する症状と要約との因果関係が治療を左右しそしてその本体を迷蒙にならせる基となるを信じて疑はないのである。私は浅薄なる小実験例により古来よりの謎を解くのが出来ないと知ると雖も前述の事実は正に本問題解決に極めて妥当なる一見解と成ると信ずるものである。

第VI章 結論
私は35例の臨床例によって単純性痩削性炎並びに所謂臭鼻症が紫外線「ビタミン」D及び自家「ワクチン」を以て完全に治療されることを実証し、尚家兎に於ける紫外線照射の組織学的研索とにより次の如き結論に到達するを得た。
(1)    単純性痩削性鼻炎の局所粘膜に紫外線を照射すれば局所の発赤腫脹肥厚を来たし分泌物減少して治癒機転に赴くべし。しかして「トリパフラビン」塗布による感受性増強法を行えば一層顕著なるべし。
(2)    真性臭鼻症に於いては其の程度により紫外線のみにて治癒するものも多々あれど尚「ビタミン」Dの投与併用にて治癒するものも多し。即ち「ビタミン」D欠乏は臭鼻症の重大なる一要約に違いないのではないか?
(3)    悪臭ある高度の臭鼻症に於いては紫外線、「ビタミン」Dに加えて自家「ワクチン」の注射により完全に治癒させることができた。
(4)    臨床上に於ける痩削性鼻炎と臭鼻症との境界は極めて難しい、それは本症が単一なる原因に依らずして数個の要約の合成に基ずく因果にして少なくとも現今に於いては「ビタミン」欠乏+特種細菌+Xと想像し得ないか。

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   主要文献
(1) Cemach:monatschr.f Ohren .u.Laryug.Jg59.H.4 S.443 1923
(2) Dersclbe:Wochenschr.Jg XXVI Mr 45 46
(3) Cister:internat.Zentpl.f.O.R.L Bd.29 heft 1-3 1928
(4) Fdmund Werthein:archif.f.O.N.HKd 117 Bd.3 heft.1928
(5) ErichWirth:archief.f.O.N.HKd 121 Bd 12 heft 1929
(6) E.Schulz:Folia Oto-tory.Bd.28 H.4-6 1927
(7) Fleischmann:archeif f.O.N.u.K.122 Baud 1-4 Heft 1929
(8) Friedberger u.Shioji:Deut.Med.Wochenschr.Nr.12 1914
(9) Goldberger u.Dattner:Zeitschr.f.H.N.O.Bd 21 S.188 1928
(10) Hansmann:Handbuch j.Lichttherapie 1927
(11) Hugobach:Bestrahlung mit Quarz lampe Kunstliche hohen sonne.1921
(12) Karl Bernfeld:archief.f.O.N.K.121.Bd 1/2 Heft S.124 1929
(13) Lauten schlager:archief f.O.N.HKd 120 Bd.1 Heft 1929
(14) Lidwig Soyka:Zeitschr.f.H.N.u.O.14 Bd 1926
(15) Oskar Beselin:Zeitschr.f.L.R.O.u ihre Greuz. Bd 17 Hef.5-6 1929
(16) Otto Fleischmann:Zeitschr f.L.R.O.u.ihre Greuz.Bd.17 Hef.5-6 1929
(17) Perez:Berl.Kl.W.1913
(18) Saloniko:arch.f.d.L.u.usw.Mai 1925
(19) 赤 松:大日本耳鼻咽喉會報 30巻 1號
(20) 星野、後藤:大日本耳會報 32巻 3號
(21) 池 田:實地醫家と臨床 6巻 3號
(22) 皃 玉:實地醫家と臨床 6巻 3號
(23) 石 本:皃科雑誌 316 大正十五年
(24) 泉  :若越醫報 17號
(25) 久 保:診断と治療(疾病治療と體質號)
(26) 春 名:紫外線療法 大正十五年
(27) 河 野:大日本耳會報 30巻 8號
(28) 三 浦:診断と治療 16巻 1號
(29) 沼 波:耳鼻咽喉程臨床 21巻 3號
(30) 植 木:治療薬報 3−6 昭和3年8月
(31) 大 串:實験醫報 123
(32) 關 川:大日本耳會報 32巻 2號
(33) 佐 藤:東西醫家大観 18 昭和4年3月
(34) 外 山:大日本耳會報 28巻 2.3號
(35) 渡 邊:大日本耳會報 31巻 4號
(36) 柳 田:日本内科學會雑誌 16巻 2號
(37) 下 平:大日本耳會報 27巻 3號

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